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30分で創作小説

誤字脱字意味不明等々あってもそのまま公開。あとで手入れしたものをサイトに載せる予定

  • 2024年11月25日

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  • 2019年10月31日

04:変な仮装


「お母さん決まった」
と、我が娘がにこやかな笑顔で報告にやってきた。今年のハロウィンの仮装を何にするか決めるよう、言ってあったのだ。
 親である私的には可愛らしいお姫様とか、動物の着ぐるみとか、人気のキャラクターなどに仮装して欲しいところだが、娘の性格上、そんなものに仮装させようとした日には、冷めた目をして鼻で笑い、私の口からハロウィンの言葉を聞くたび、同じ反応をかえす様になるだろう。
 だから10月に入ると本人にやりたい仮装を尋ね、母がその仮装の制作が可能かどうかを考え、調べてから返事をするというシステムになっている。ちなみに私が却下することも考え、娘にはいくつか候補を考えてもらっている。なんせ、娘は「混沌」の化身である。
「何に決めたの?」
 尋ねる私の顔にはきっと縦線が見えるはず。頼むから聞いたことのある単語が聞こえてきて欲しい、という期待。
 可愛らしい娘がまず口にあげたのは、
「アノマロカリス」
「ア……アロ、カリス?」
「違うよ、アノマロカリス」
 えぇっと。何よそれ。どこの誰? 何のキャラクター? とにかく可愛い系であって欲しい。
「それは何かな?」
 尋ねると、広げた図鑑のページを見せてくれた。奇妙な……シャコ?
「……それ、可愛い?」
 仮装はみんなのためにも可愛いのにしてとお願いしたはずなのに。
「可愛いでしょ」
と、娘は言うが、はっきり言って可愛くない。なんだよ、全長60センチって。
「もうちょっと違うの……お母さんが作りやすそうなのをお願い」
「じゃ、ブラックホール」
「……ブ、ブラックホールって、ブラックホールって……どういうのかお母さん、わかんないな」
 別の図鑑を広げて見せてくれた。そこに描かれていたのは赤い輪郭を持つ黒い穴。なにこれ。これをどうやって仮装として表現すればいいのかしら。
「絵に描いてもらっていいかな」
と、時間稼ぎ。ブラックホールについてスマホで調べる。重力だの光が脱出できあ穴だの、とらえられたブラックホールってのがまたあやふやでこれをどう表現したらいいのかわからない。しばらく部屋で絵を描いていた娘が、戻ってきた。
 一面、真っ黒に塗りつぶされたお絵かき帳。はっきりいって、精神的にヤバい人が描きそうな感じだが、これがブラックホールのイラストなのだ。
「こんな感じ」
 嬉しそうな娘。娘を喜ばせたい気持ちはあるが、はっきり言って私はどうしたらいいのか今年もわからない。
「……そう言えば、おばあちゃんがハロウィンの衣裳、送ってきてくれたのよ。今年はそれにしましょ」
 不服そうな娘だが、大好きなおばあちゃんには逆らわないから、こんなときだけ有難い。普段は孫を甘えさせ過ぎの人だから嫌なんだけど。

お題配布元:エソラゴト。さま →ハロウィンで10題
http://eee.jakou.com/
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