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30分で創作小説

誤字脱字意味不明等々あってもそのまま公開。あとで手入れしたものをサイトに載せる予定

  • 2024年11月24日

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  • 2019年11月08日

雪虫達の聖夜


「今日って雪降らせる必要あるの?」
 セツが口をとがらせる。
「どうせ、恋人たちのホワイトクリスマスだとか言って、カップルがいちゃつくだけでしょ」
 反抗期に差し掛かった健全十代女子は実に社会に手厳しい。
「そんなん言うたらあかんて」
「……僕たちは気象をコントロールできる立場じゃないんですよ……」
 メイさん、ジンさんになだめられ、口を尖らせながらも作業場から雪の素が入った袋を運び出す。戸口におかれたそれを私は裏庭にある客車車両に詰め込んでいく。
 全く、育っても可愛いなんて奇跡。マイエンジェル。言ったら一週間くらい口を聞いてくれないから声には出せない。ああ、母の愛しさは溢れそう。
「嬢ちゃん、天気予報で言ってただろ。今夜は雪だって」
 隊長がのんびり声を上げる。
「だからって、天気予報通りに行動しなくてもいいじゃん」
「別に天気予報に合わせてへんよ。天気予報は参考にしてんの。なあ、ジン」
「……予報は予報だからね……」
「意味わかんない」
 言いつつも、働いてくれる我が子は良い子。
 夫はクリスマスイブは実家の家業に忙しくて家に帰ってこれない。帰ってくるのは26日だけど、帰ってきた途端、疲れすぎて死んだように眠ってる。サンタも案外大変みたい。

 改めてコートを着込み、庭にでる。冷たく凍るような風が吹いている。ああ良い感じだ。
「隊長どう?」
「これはいい風だな」
「じゃ、出発しようか」
 私は車両に乗り込む。
「でも、ママ。この量じゃすぐに撒き終わっちゃうよ」
「深夜まで降らせたいの?」
 むすっと首を振る。一体どっちを望んでるんだか、可愛い。
 町の上空をぐるっと一周。雪の素を大気にばら撒く。風に流され、冷たい空気で凍り、雪になって降り積もる。
「私たち、雪虫みたいだね」
 セツは言う。
 雪虫なんてこの辺にはいない。それに”虫”なんて可愛くない。
「どうせなら雪の精って言ってよ」

お題配布元:Discoloさま →クリスマス5題
http://discolo.tuzikaze.com

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