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30分で創作小説

誤字脱字意味不明等々あってもそのまま公開。あとで手入れしたものをサイトに載せる予定

  • 2024年11月24日

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  • 2019年11月07日

24日の24時


「最っ悪のクリスマスだあぁぁぁっ!」
 あたしは頭を掻きむしる。乱れてた髪がさらににぐっちゃぐちゃになるが、そんなことどうだっていい。むしろ、この現状を上司に見せつけてやりたいところだ。
 広いとは言えない事務所。むろん、聖なる夜に職場に残ってる人間なんて誰もいない。化粧は取れてるし、服もよれよれだし、この上髪がどうなろうと知ったこっちゃない。
 クリスマスまであと30分。つまり、ただ今23:30分を過ぎたところだ。そして、仕事は30分じゃ終わりそうもない。
 昼食の時、彼氏とデートとかいう浮かれた同僚から「どうしても早く上がりたいから、ちょっとお願いできない?」とか言う戯言を二つ返事で引き受けたら、コピー機は紙詰まりするわ、階段で転んで書類ぶちまけるわ、致命的な訂正箇所見つけて一から書類作成し直ししたらまたコピー機詰まって……今日の散々っぷりは人生の中でもとっておき。
「サンタのばかー! これが私へのプレゼントなの? 私に恨みでもあるわけ?」
 思い切り叫びたいっていうか叫ばせてもらう。誰もいないんだからいいじゃない。
 コピー機のやろう、動きゃしない。
 AIの指示通り電源落として、紙詰まり箇所を一通り確認して、紙を入れ直して、一からデータを飛ばして……。動きだしたと思えばまた『エラー』の文字。
 これは、このコピー機やろうが私とスイートなクリスマスを過ごしたいがための戦略なのか。私はこんなでかいA3対応複合機の彼氏なんか嫌だ。ちゃんと心臓動かして血液循環してる肉体をもった、出来ればイケメン細マッチョのモデル体型、そして私だけに優しくて強くてエリートでお金持ちの彼氏欲しい。贅沢すぎるけど、言うだけならただだろう。特に今日の、特に今の私には。
「動け動け動けっ。動いて、お願いだから」
 会社でクリスマスを迎えるなんて、絶対嫌なのぉぉぉ。
 願いが通じたのか、動きだした。ほっとしたとたん、
「まだ残ってたんですか?」
 男の声。私は思わずしゃがみ込む。この声は、この声の主は……手早く身支度を整え、ゆっくりと立ち上がる。顔は見なくても分かる。
「ど、どうしたんですか?」
 顔は向けられない。化粧崩れが散々なことはわかってるから、コピー機に注目したまま、背中で答える。
 なぜにこの状況で、こんな時間に戻って来られたんでしょう。あなたは。
「実は飲み会の帰りなんです。前を通りかかったら、明かりがついてるからどうしたのかな、と思って」
「ああ、そうですか……」
 クリスマスパーティーか。うかれやがって。
 
お題配布元:Discoloさま →クリスマス5題
http://discolo.tuzikaze.com
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