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30分で創作小説

誤字脱字意味不明等々あってもそのまま公開。あとで手入れしたものをサイトに載せる予定

  • 2024年11月24日

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  • 2019年12月01日

俺がいなくなったら、きっとあいつは死んでしまうだろう。


俺がいなくなったら、きっとあいつは死んでしまうだろう。
 遠い目をして語る長谷川は凄くキモイ。完全なる自己陶酔の時間。間違いなく現在、長谷川の脳内ではBGM付きで弥生さんの盗撮画像をつなぎ合わせたフィルムが回っているはずだ。
 手持無沙汰になると長谷川は嫁自慢を始める。本気でウザいが、場所が二人っきりの密閉空間でないだけましだ。というか、松戸がそんなことは許さない。
「口から環境汚染物質を垂れ流すな」
「なんだと松戸」
「いいレベルの魔道師の癖に、そんなできそこないの魔法道具に翻弄されるなんて馬鹿としか言いようがない」
 松戸は基本無表情だから、長谷川に関して単なる事実を述べていても、とても不機嫌そうに見える。
「そうよ、馬鹿よ」
「いや、馬鹿はお前だろうが友利」
「敬称をつけろ」
「こいつはまだ、ただの候補だろうが」
 長谷川酷い。口悪い。女王候補に向かって、この言いよう。昔からぜんぜん変わらない。私が記憶をなくして暮らしていたとき、松戸は探索任務を、長谷川は別の部署に異動になっていたのに、その経験は何も役に立っていない。
 私が復帰するにあたって、長谷川の復帰をごり押しされたのだ。助けて下さい、ってばかりの課長さんの泣き言と共に。
 引き受ける気はなかったんだけど、弥生さんの電話番号を教えてもらう条件で引き受けた。弥生さんとは毎日、長時間お話しをしているが、彼女の口から聞きだせるのは、「あいつキモイ」か、「あいつ怖い」しかない。
「長谷川のばーか。弥生さんに嫌われろ」
 言わなくても、一ミリも好かれていないのは誰の目にも明らかなんだけど。
「弥生ちゃんは俺激ラブなんだよ。恥ずかしがり屋さんだから、俺の前に出てこれないんだって、何回も行ってるだろ」
 本当に頭おかしい。結婚して何年になると思ってるんだ。そして、その間に弥生さんの姿を遠方からでも見れたことって数えるほどしかないはずなのに、なんでこんなに自信をもって言えるんだろう。制御不能な魔法って、本当に怖い。良いサンプルが目の前にいる。
 弥生さんは恥ずかしがり屋じゃなくて、ただ、魔法でおかしくなっている長谷川から逃げてるだけだ。長谷川の親族一同の手によって厳重に隔離保護されていることは、周知の事実。気を隠すなら森、灯台下暗しの精神で。
 不完全な魔法を解読し、それの効果をなくすって簡単に思えて難しいんだよね。人間に効果のでているものだと特に。下手うつと、どんな二次効果、もしくは副作用が現れるかわからないし。
 絡み合った糸を解きほぐす様に、魔法解除を慎重に行ってるのが現状。腕利きの魔道師ならばできるだろうって思うだろうけど、問題は、あと一歩ってとこまできても、当の長谷川が邪魔してくるんだよね。
 もしかして、と誰もが思っていても口に出さないことを改めて考える。
 本当に長谷川は弥生さんに惚れている可能性について……でも、だとすると弥生さんが気の毒過ぎる。

お題配布元:リライトさま →組込課題・文頭
http://lonelylion.nobody.jp/

関連小説:羽と彼女と魔術師と。
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