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30分で創作小説

誤字脱字意味不明等々あってもそのまま公開。あとで手入れしたものをサイトに載せる予定

  • 2024年11月24日

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  • 2019年12月07日

あの男はおかしいほどに割烹着が似合う。


あの男はおかしいほどに割烹着が似合う。普段から頭に手ぬぐい、ジャージにおばさんが良く着ていそうなチェックの割烹着姿であるから、それ以外の恰好をしているときの違和感、異常感といったらない。
 そんな恰好を普段からしているのだから、料理屋の主人だとか、お掃除関係の人だとか、はたまた民宿の主人あたりを推測する人がいるが、残念ながら全て外れ。
 彼は自称探偵である。普段、目立つ格好をしているから、逆に普通の恰好をする事が変装になるのだと自慢気に言う。
 それは確かに一理ある。以前、妻に浮気を疑われて、私は彼に一週間以上つけまわされたのだが、当時はまったく気づかなかった。
 割烹着姿の彼と朝、すれ違い、帰宅時にまた彼とすれ違う。それはいつものことだから、違和感を抱かない。それ以外の時間帯、彼は普通の恰好で私の後をつけていたという。宣言されていない限り、わかりっこない。
 その時の調査結果であるが、みごと真っ白だったことを付け加えておく。まあ、知人程度の人間に対し、金の貸し借りで妻に言えない秘密を抱えていたのだから、妻に怪しまれるような行動をとっていたのは間違いない。
 先日、耳をそろえて返金されたのだから、こうして記すことができる。
 先方はいわゆる妻からの家庭内DVに悩んでいた男で、私が気づいた時には命の危険があるのではないかという雰囲気だったから、弁護士を介し、離婚するようすすめていたのだ。
 当時の彼は完全な洗脳状態だったし、彼の妻は見事な世間体の良さを発揮していて、放っておくのは彼を死に追いやるだけだった。誰も何もしない状況で、私が勝手に乗り出したのだ。お節介だ、と言われても仕方ない。
 彼からの報告を読んだ妻は私に「言ってくれたらいいのに」と言っただけだった。
「あの男は凄腕の探偵みたいだね。まったく気づかなかった」
「あら、貴方だから出来たんじゃない。あの人、普段は犬猫探しばかりやってんのよ。あとは高齢者世帯での介護とか」
「探偵だって言ってたよ?」
「簡単に言うと何でも屋さんなのよ」

お題配布元:リライトさま →組込課題・文頭
http://lonelylion.nobody.jp/
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